社長メッセージ

世界におけるコロナ禍はすでに2年半を超え、未だに人々の健康・安全、各産業のサプライチェーンへの影響が続く中、さらに今年に入りロシアによるウクライナ侵攻が起こり、海運業を取り巻く環境には種々の制約が増加しております。
特に船員交代ならびに運航航路の制約は、船主業を主たる業務とする当社にとって最も大事な安全運航を左右するものであり、従来に増してその実現に向けての日々の努力が問われております。
外部環境の変化に対応し、当社では、船員の乗船期間の短期化や、船舶の通信設備改善による乗船中の船員と家族のコミュニケーション促進により、船員のストレス軽減を実現することで安全運航を支える基盤を整えると共に、船員教育システム・保船管理方法改善などの諸施策を実施してまいります。
また脱炭素に象徴されるサステナビリティーに関する動向として、ウクライナ侵攻はエネルギー不足を引き起こし、昨年まで各国で推進されてきた環境対応の諸施策を逆行させる動きが短期的には見られますが、海運界においては、2050年のCO2排出量半減、今世紀出来るだけ早い段階でのネットゼロ達成というIMOが掲げる⾧期目標に向けた取組が進められております。
従来の新造船に対するEEDI規制(エネルギー効率設計指標)に加え、来年1月以降は既存船にも対してもEEXI規制(既存船に対するエネルギー効率設計指標)およびCII(燃費実績格付け制度)が施行されます。
当社は、これらの規制遵守はもとより、⾧期的な脱炭素社会の実現に向けた移行ソリューションとしてLNG燃料船の保有・管理を目指し、昨年より海陸一体となって諸準備を進めております。
また、既存船についても、環境性能に優れた船舶への入替投資を順次進めてまいります。安全運航への取組、船舶入替など当社の事業活動については、気候変動対策、海洋汚染防止などSDGsとも合致するものです。今後も安全でかつ環境に優しい先進海運企業として、皆様に信頼される企業となるべく努力を続けてまいります。
2022年7月
三菱鉱石輸送株式会社
代表取締役社⾧ 小笠原和夫